相模原グリーンロータリークラブ
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相模原グリーンロータリークラブ
第574回例会週報

573回 | 575回 | 2004-05週報目次
◆米山奨学生としての体験から
米山学友会 会長 浜堂 勉

 私は浜堂 勉と申します。私は1995年の4月に北アフリカのチュニジアという国から日本にやってきました。そして、東海大学大学院工学研究科電気工学専攻博士修士課程を卒業しました。その際に米山奨学生として奨学金を頂き、勉強に専念することができ、大変助かりました。今でも感謝しております。世話クラブは秦野ロータリークラブでした。現在は、日立製作所のビジネスソリューション事業部でITコンサルティングの仕事をしております。今年度、7月から第2780地区米山奨学学友会の会長を初めて務める事になりましたので、宜しくお願い致します。

 それではまず、はじめに、私の国、チュニジアについて少し紹介したいと思います。チュニジアは日本から遠く離れたアフリカ大陸にあり、北は地中海に面しています。みなさんは、地中海とサハラ?とびっくりされたかもしれませんが、チュニジアには日本にも負けないすばらしい自然があります。白いビーチやナツメヤシのしげるオアシスがあり、毎年多くのヨーロッパ人がバカンスにおとずれます。最近では日本人の姿も時々みかけるようになったようです。

 チュニジアのほかにも、となりのアルジェリア、そしてそのとなりのモロッコの地中海に面した国々はマグレブと呼ばれ、アフリカ大陸にありながらもヨーロッパの雰囲気を持ったアフリカ大陸の中ではかなり発展した地域となっています。
 なかでもチュニジアは、かつてはカルタゴと呼ばれてローマ帝国と並びうる繁栄を誇った国だと紹介すれば、皆さんの中には「ああ」とうなずかれる人もいらっしゃるのではないでしょうか?残念ながら古代のすばらしい遺跡の多くは、紀元前146年の第三次ポエニ戦争の後のカルタゴの滅亡で、ローマ人によって破壊されてしまいました。それでも古代の繁栄をしめす数々の遺跡が残されており、世界文化遺産の1つに数えられるエルジェムのコロッセオは特に有名です。チュニジアは観光地としてもとても有名ですので、皆さんもぜひ一度チュニジアに来てください。

 さて、早いもので私が日本にきてから9年間が過ぎました。ふりかえってみると、やはり一番困ったことは言葉の問題でした。日本にやってくる留学生の多くは母国語の他に英語を話すようですが、私の場合はフランス語になります。日本でも英語を勉強し、理解する人は大勢いるようですが、残念ながらフランス語を理解する人は少ないようです。
 ですから、私がまずはじめにしなければいけなかったことは、日本語を理解することでした。必要に迫られて、いっしょうけんめいに勉強しました。習うより慣れろの言葉どおり、いまでは英語に変わり、日本語が私の3番目の言葉になりました。日本語を勉強するにつれて、日本語のおもしろさと同時に日本語の難しさも痛感するようになりました。

 ヨーロッパの言葉はアルファベットだけですが、日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字があるので大変です。話し方にも、普通の話し方やていねいな話し方、尊敬や謙譲の言葉もあって大変ですが、私は日本語の持つ美しい響きが大好きです。

 私は日本の文化にも興味がありました。日本で暮らすようになり、ますます日本が好きになりました。今は、部屋にはベッドではなく布団を敷いて寝ていますし、シャワーよりもお風呂が好きになりました。日本の食べ物も何でも食べます。以前に大学の学生食堂でアルバイトをしていたこともあるので、うどん、そば、ラーメン、定食なども大好きです。夏の間はビールに枝豆、そして冷やっこがあればもう幸せです。

 私は日本に来てから、スケジュールを組み行動するということを覚えました。私の国ではあまり計画を立てて行動するという習慣はありません。友だちや知人は電話で知らせることなく、家にやってきますし、明日の予定など決めることはまれです。最初は戸惑いましたし、とてもめんどうくさいなーと感じましたが、なれてしまうととても便利だと感じる様になりました。毎晩寝る前に手帳を開いて、明日の予定を確認する自分を見て、時々自分かすっかり別人になってしまったように感じます。国に帰ってもチュニジアンタイムでの生活はできなくなりそうです。

 このようにすっかり日本での生活になれ、あこがれの国、日本での生活をエンジョイしている私ですが、最初はすべてがチュニジアとは違って、本当にびっくりしたことを覚えています。私自身が実際に日本にやってきた少ないチュニジア人であるように、チュニジアでは日本が世界有数の技術工業国であり、日本製品の品質が非常に高いこと以外はあまり知られておらず、日本はまだまだ未知の国であると言えます。
 また、これも実際日本に来て、暮らして感じたことですが、日本人の人たちも私の母国、チュニジアについてはほとんど何もしらないことを痛感し、大変残念に思いました。こんなことから、将来私はこの日本での貴重な経験を生かし、両国の交流の手伝いが出来たらと考えるようになりました。両国の持つ、すばらしい文化を紹介したいと思っています。最後になりますが、日本とチュニジアには意外な共通点があるのをご存知ですか?地球儀を見ると日本とチュニジアは同じ北緯35度付近に位置していることがわかります。マグレブとはアラビア語“日の沈みところ”と言う意味です。つまり太陽は日本から上ってチュニジアにしずんで行くことになります。是非地球儀を見てみてください。

 それでは、これから米山学友会の活動について、お話させて頂きます。
 今年度のスタート活動は、7月に藤沢市教育委員会学校教育課で国際教育の外国籍児童生徒のために、日本語教科書をスペイン語、ポルトガル語、中国語、タイ語、ペルシャ語(イラン)、ミャンマー語、アラビア語に翻訳しました。指導に当っている先生方に大変喜んでもらいました。

 次の実施した活動は、9月19日に地区大会が開催されました。新世代プログラムに協力しました。内容は、新世代コーナーの設営(各国のお茶サービスとパネルディスカッションを用意しておりました。)また、皆様との交流を深めるため、9月23日(木)にクリーンキャンペーンとバーベキューを行いました。クリーンキャンペーンは、財団法人神奈川海岸美化財団主催の「国際ビーチクリーンアップ2004」に参加をし、開催場所は藤沢鵠沼海岸でした。この地区の米山奨学生・学友が地域の人達と一緒に奉仕活動をする機会を持つことは、学友会にとって初めての取り組みでした。

 次の活動予定は、12月19日(日)午後5時より忘年会を計画しております。是非ご参加くださいますようお願いいたします。

 今後は、さらに地域国際理解・交流・教育へ貢献したいと考えております。そして、国際理解・異文化教育・総合学習へのシンポジウムを開催する予定です。このシンポジウムでは主催2780地区米山学友会、他地区米山学友会と連携する予定です。その他交流の発行、奨学生の感想会、オリエンテーションへの出席、卓話の教育など行います。

 米山奨学会・奨学生、ロータリアンの皆さんが力を合わせて、行動する事は大事な事だと思います。今後はさらに交流の枠を広げていき、様々な異文化コミュニケーションを図っていければと思います。

 期待にこたえるためにも我々学友は精一杯取り組むつもりでおりますので、ご支援のほど、よろしくお願い致します。また、ロータリアンの皆様、今後ともよろしくご指導くださいますようお願い申し上げます。
◆近況報告
元米山奨学生 サーティマーさん
 こんにちは、皆様とお久しぶりにお会いできて光栄です。私は2年前に神奈川大学の博士課程で研究している間、ロータリー米山奨学会から奨学金を頂き研究に専念させていただいておりました。皆様のご助力のおかげで無事に日本の神奈川大学で博士課程を取得し、タイに帰りました。皆様からいただいた暖かいご援助の数々は、今でも決して忘れることはありません。本当にありうがとうございました。

 私は日本で博士号を取得した後、重ねてアメリカに1年間留学してきました。カリフォルニア大学サンタバーバラ校(California University,Santa Barbara)のビジネス・スクールで更に経営学の研究を重ねました。現在ではタイに戻り、タイ国立コンケーン大学MBAコース(Khon Kaen University,MBA Course)にてディレクターとして奉職しています。

 今回の滞在では、日本学術振興会からの資金で20日間ほど、慶応義塾大学藤沢キャンパスに通い調査を行いました。多くの場所を研究の為に訪れました。海外技術者研修協会(AOTS)や日産座間工場にあるタイからの研修者の研修の様子などを見に行きました。そうした忙しい間でしたが、お世話になった相模原グリーンロータリーの例会に参加させていただき、このように皆様にご挨拶させていただく機会をもつことができて本当に嬉しいです。次回日本に来る予定は、はっきりとはしていないのですが、再度来日の折にはまた皆様とお会いし、研究の成果をご披露できればと考えております。

敬具
2004年10月18日 サーティマー