ロータリー創設から確立までの背景!

<如何に捉えるか?>

1914年1916年

<1915年>

 1915年-(大正4)- 標準ロータリークラブ定款、模範クラブ細則を採択。
 また地区(19ケ所)、G.制の設定、そして11ヶ条の「ロータリー倫理訓」が採用される。
 ガイ・ガンディカーが「ロータリー通解」を出版準備。
 第5代会長にアラン・D・アルバートが選任される。新綱領も採択される。
 共同経営者等第2正会員と称していた者が、追加正会員に位置付けられる。

 <6項目の綱領-ロータリークラブ綱領>
  1. すべての合法的職業の価値に対する認識を深め、社会に対する奉仕の機会を与えるものとして会員の職業を神聖化すること。
  2. 職業上の高き道徳的規準を奨励すること。
  3. 意見や商取引上の方法を互いに話し合い、各会員の能率を増進させること。
  4. 奉仕の機会および成功への道として知り合いを広める為の知識を普及すること。
  5. 社会福祉の問題に各会員の関心を促し、かつ市、社会、商業および産業の発展のため他の人々に協力すること。
  6. その同輩および社会一般に奉仕する各会員の意欲を刺激すること。

 米人口1億人超える!前年比で米移民激減(33万人)。ルシタニア号爆沈!
 「シカゴ・ヘラルド」誌が日本の「対華21ヶ条要求」の全文をすっぱぬく。
 7/24にウェスタン・エレクトリック社の慰安旅行で、2千人を乗せた遊覧船「イーストランド」がシカゴ川で転覆、812人溺死の大惨事となる。平時の内陸部における最大の転覆事故。事故は昼日中、シカゴの中央部で起こる。
 白人女工メアリー暴行容疑のユダヤ人青年実業家の「レオ・フランク」がリンチにあう。犯人G.はメアリーフェイガン騎士団(150人)、アトランタでのこの事件をきっかけに、ジョージア州が秘密組織KKK騎士団を認可!
 → 米ユダヤ人社会に「レオ・フランク・シンドローム」が生まれ、以後ユダヤ人社会は米社会での宥和促進策、認知アピールを意識し始める。ユダヤ人実業家は、心して社会寄付に注力、また同類の黒人社会との連帯の契機! 
 ATT社が米大陸横断電話開通(ベルの指導で、NY?サンフランシスコ間)。
 キワニス・クラブ誕生。米ハイチを保護領化(?1936年)。横浜停車場開業。
 シカゴ貧民窟の救済家、J.アダムス女史が国際女性連盟総会(ハーグ)に出席する→ 彼女は1889年にハルハウスを設立しセッルメント活動を展開。
 日本 自動車保有台数は1,244台(同米は249万台)、人力車は12万3,776台。

 <職業人のためのロータリー道徳律>

 1915年7月19-23日、サンフランシスコにおける第6回国際ロータリークラブ連合会年次大会によって採用された。
 この職業倫理基準は、我々の共通な人間性に基づく思いやりを心に留めるものである。職業上の取引や野望や諸関係は、常に社会の一員として自分が果たす最高の義務を考慮すべきである。職業生活のあらゆる場面において、また、自分が直面するすべての責任において、先ず最初に考えなくてはならないことは、その双方を終えたときに始めて果たされる責任と義務を満たすことである。人間の理念と業績の水準をそれに気づいたときよりも、少しでも高めなければならないし、このことを考えることこそ、ロータリアンとしての私の義務である。

          倫  理  基  準
第1条 自分の職業は価値あるものであり、社会に奉仕する絶好の機会を与え
    られたものと考えること。
第2条 自己改善を図り、実力を培い、奉仕を広げること。それによって、
    最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」というロータリーの基本
    原則を実証すること。
第3条 自分は企業経営者であるが故、成功したいという大志を抱いている
    ことを自覚すること。しかし、自分は道徳を重んじる人間であり、
    最高の正義と道徳に基づかない成功は、まったく望まないことを自覚
    すること。
第4条 自分の商品、自分のサービス、自分のアイディアを金銭と交換する
    ことは、すべての関係者がその交換によって利益を受ける場合に
    限って、合法的かつ道徳的であると考えること。
第5条 自分が従事している職業の倫理基準を高めるために最善を尽くすこと。
    そして、自分の仕事のやり方が、賢明であり、利益をもたらすもので
    あり、自分の実例に倣うことが幸福をもたらすことを、他の同業者に
    悟らせること。
第6条 自分の同業者よりも同等またはそれに優る完全なサービスをすること
    を心がけて、事業を行うこと。やり方に疑いがある場合は、負担や
    義務の厳密な範囲を越えて、サービスを付け加えること。
第7条 専門職種または企業経営者の最も大きい財産の一つこそ、友人であり、
    友情を通じて得られたものこそ、卓越した倫理にかなった正当なもの
    であることを理解すること。
第8条 真の友人はお互いに何も要求するものではない。利益のために友人
    関係の信頼を濫用することは、ロータリーの精神に相容れず、道徳律
    を冒涜するものであると考えること。
第9条 社会秩序の上で、他の人たちが絶対に否定するような機会を不正に
    利用することによって、非合法的または非道徳的な個人的成功を確保
    することを考えてはならない。物質的成功を達成するために、他の人
    たちが道徳的に疑わしいという理由から採らないような、有利な機会
    を利用しないこと。
第10条 私は人間社会の他のすべての人以上に、同僚であるロータリアンに
    義務を負うべきではない。ロータリーの神髄は競争ではなくて協力に
    あるからである。ロータリーのような機関は、決して狭い視野を持っ
    てはならず、人権はロータリークラブのみに限定されるものではなく、
    人類そのものとして深く広く存在するものであることを、ロータリア
    ンは断言する。さらに、ロータリーは、これらの高い目標に向かって、
    すべての人やすべての組織を教育するために、存在するのである。
第11条 最後に、「すべて人にせられんと思うことは、他人にもその通りに
    せよ」という黄金律の普遍性を信じ、我々が、すべての人にこの地球
    上の天然資源を機会均等に分け与えられた時に、社会が最もよく保た
    れることを主張するものである。
               [The Rotary Code of Ethics 田中毅PG訳]

The Rotary Code of Ethics for Business Men of all Lines

 My business standards shall have in them a note of sympathy for our common humanity. My business dealings, ambitions and relations shall always cause me to take into consideration my highest duties as a member of society. In every position in business life, in every responsibility that comes before me, my chief thought shall be to fill that responsibility and discharge that duty so when I have ended each of them I shall have lifted the level of human ideals and achievements a little higher than I found them.

In view of this, your committee holds that fundamental in a code of trade ethics for International Rotary are the following principles.

FIRST To consider my vocation worthy, and as affording me distinct opportunity to serve society.
SECOND  To improve myself, increase my efficiency and enlarge my service, and by so doing attest my faith in the fundamental principle of Rotary that he profits most who serves best.
THIRD  To realize that I am a business man and ambitious to succeed; but that I am first an ethical man, and wish no success that is not founded on the highest justice and morality.
FOURTH  To hold that the exchange of my goods, my service and my ideas for profit is legitimate and ethical, provided that all parties in the exchange are benefited thereby.
FIFTH  To use my best endeavors to elevate the standards of the vocation in which I am engaged, and so to conduct my affairs that others in my vocation may find it wise, profitable and conducive to happiness to emulate my example.
SIXTH  To conduct my business in such a manner that I may give a perfect service equal to or even better than my competitor, and when in doubt to give added service beyond the strict measure of debt or obligation.
SEVENTH  To understand that one of the greatest assets of a professional or of a business man is his friends, and that any advantage gained by reason of friendship is eminently ethical and proper.
EIGHTH  To hold that true friends demand nothing of one another, and that any abuse of the confidences of friendship for profit is foreign to the spirit of Rotary, and in violation of its Code of Ethics.
NINTH  To consider no personal success legitimate or ethical which is secured by taking unfair advantage of certain opportunities in the social order that are absolutely denied others, nor will I take advantage of opportunities to achieve material success that others will not take because of the questionable morality involved.
TENTH  To be not more obligated to a Brother Rotarian than I am to every other man in human society; because the genius of Rotary is not in its competition but in its cooperation; for provincialism can never have a place in an institution like Rotary, and

Rotarians assert that human rights are not confined to Rotary Club but are as deep and
as broad as the race itself; and for these high purposes does Rotary exist to educate all men an all institutions.
ELEVENTH  Finally, believing in the universality of the Golden Rule ・・ All things whatsoever ye would that men should do unto you, do ye even so unto them ・・ we contend that Society best holds together when equal opportunity is accorded all men in the natural resources of this planet.
  [ 1915 Annual Convention at San Francisco ]
起草委員 J.R.Perkins, Frank Murphy, August Williges,John Knutson, Thomas Hutton, James Whittimore  (Sioux City RC)

 <ハリスの関心を惹いたキワニス( Kiwanis )> 
 キワニスは1912年にできたセルトマのようにロータリーの組織を真似ただけでなく、奉仕クラブの概念に新しい広がりを与えた。ロータリーは相変わらず奉仕団体の中ではずばぬけて大きくはあったが、もはや水先案内と言えず。ロータリー運動が模倣され、補完され、増大されることはハリスの希望でもあった! 
 - The first ROTARIANより

 <ポール・ハリスの戦争観>
 「一般社会における殺人は、社会を毒する凶悪犯として刑を受け、自らの命をもってその罪をあがなう。
 しかるに戦争における殺人者は、国家によって表彰され勲功も授けられる。世人も殺人者に対して賞賛を与える。これ文明の一大恥辱というべきであろう。」

※ サービス(大衆消費社会の登場-山川出版、世界史リブレットより)
  購買の強制は、企業の言い分によれば、利益のみ追求する利己心に発するものでは決してない。奉仕という意味でのサービスがその根底にあった。サービスが資本主義の決まり文句になったのは、概ね1910年代以降である。
 当時の雑誌を検証すると、1908年?20年の間に、この語の使用頻度は5倍になり、1920年には全広告の4分の1に用いられていた。
  革新主義の洗礼を受け、一定の自己変革を果たし、20年代には、未曾有の繁栄を寿いだアメリカ民主主義の傲慢な自信の表れともいえる。