相模原グリーンロータリークラブ
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第646回例会週報

645回 | 647回 | 2005-06週報目次
畑や田んぼの恵みをいただきながら、自然を取り戻そう!

NPO法人「畑と田んぼ環境」再生会 代表 小川 誠


畑や田んぼも本来は自然環境です!

戦後の日本は経済成長一辺倒で、それを強力に促進したのが優れた科学技術や工業技術力でした。その恩恵は農業分野にも及び、農業の機械化と農薬や化学肥料の開発普及で、効率と経済性を徹底追求した近代農業が誕生しました。その結果、畑も田んぼも野外農作物生産工場となりました。しかしながら、我々日本人はそこが本来は身近な虫や小動物が生息し、人間と共生した、2次的自然環境であることを完全に見落としてしまいました。そして、気が付けば、子どもの頃から慣れ親しんできたメダカは絶滅危惧種となってしまい、トカゲやケラなども地域によっては希少種になってしまったのです。

環境自作人になって、「共生き畑」、「共生き田んぼ」を造ろう!

NPO「畑と田んぼ環境」再生会は相模原市やその周辺の休耕地や荒廃地を借り受けて、市民の皆様とともに「環境に優しい農法」で農地を再生すると同時に、その農地を生物多様性のある2次的な自然環境としても再生するという活動を始めました。その具体的な環境再生の担い手かつ農業実践者を環境自作人と呼びます。畑という草地の自然環境を造る人は「畑環境自作人」、田んぼの自然環境を造る人は「田んぼ環境自作人」と呼びます。この2種類の環境自作人によって「生き物との共生」を実現した「共生き畑」や「共生き田んぼ」を造っていきたいと考えています。そのような環境自作人になりたい人の為に、次ページ以降にあるような研修会を企画しました。このような試みはおそらく全国で初めての試みではないかと思います。

鍬と鎌さえあれば「生き物との共生」が実現できる

実は、環境自作人になるには大きな機械や設備は要りません。鍬と鎌だけで十分です。また、農薬や化学肥料が無くても野菜やお米は立派に育ちます。特に野菜育ては自然の力を引き出すことで簡単にできるものも少なくありません。もちろん時に失敗もあるでしょうが、「農」を楽しむ気持ちさえあれば、さして苦にもなりません。自分で育てた安全で健康な野菜やお米が食卓を飾るとき、家族の団欒が潤いのあるものになります。そして、畑環境や田んぼ環境が出来上がるにつれて、小さな虫や動物がどんどん増えてきて、作物は次第に容易に豊かに逞しく育っていくことが実感できることでしょう。そうして2次的な自然環境として農地が生まれ変わったときの姿を想像してみてください。そこは子ども達が虫取り網や魚網を持って走りまわる、懐かしい「ふるさと」の景色に一歩近づいていることでしょう。

足元の畑と田んぼから確実な環境再生をして行こう!

今、地球環境は年々悪化して、私たちの力は現代文明の猛威の前にあまりにも無力で、虚しさすら感じてしまいがちです。しかし、実は私たちの足元に、目の前の大地に、農地を再生すると同時に地球環境を再生していく大きな可能性が横たわっています。本当にちっぽけな一枚の田畑でも、私たちの試みに生き物達は敏感に反応します。日本の自然は幸いにしてまだまだ十分に復元力を備えていることがわかります。

「畑と田んぼ環境」は市民の皆さんが「農」のある暮らしを実現するお手伝いをします。そして、足元にある自然環境再生の喜びを市民の皆様と共有したいと思います。