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<大事業家の生きざま、足元からの奉仕>

 我々は職業奉仕をつい難しく考えがちです。もちろんポール・ハリスの言う、「社会に役立つ人間になる方法はいろいろありますが、最も身近で、しばしば最も効果的な方法は、間違いなく自分の職業のなかにあります」(1912/1)は基本であり、心掛けるべきことでありましょう。しかし複雑に職業が絡まりあい、管理化された今日では、殊更に「我が職業」を意識しなくても、自分の日常、自分の得手の世界(管理能力を含め)を活用し、『平生の奉仕の道』を模索すれば良いのではないでしょうか?
 これは大社長でも同様です。ポールは言います。「ロータリーは単にあるがままを受け入れるのではなく、創りださなければなりません。「人類の友愛」という言葉を実際的なものにする新しい方法と手段を見つけるという任務に、大事業家の才能を向けなければなりません」(ロータリーへの私の道)。

 このことについて私が敬服する方はヤマト運輸の社長であった小倉昌男さんです。仕事の上でも日本人の生活を一変させたクロネコヤマトの「宅急便」を世に出した名社長でありました。世のためと信じると、監督官庁とも激論を辞さず、行政訴訟までも行う気骨の経営者でもあります(氏は東京銀座RCのメンバーでもある)。
 その小倉さんは70才の節目に大きな決断をされました。1993年に社長職を辞した後、ご自身の半分以上の資産(ヤマトの持ち株の3分の2、計200万株)を投じ、「ヤマト福祉財団」を設立され、障害者福祉に取り組んだのです。
 動機はごくごく素朴に「気の毒だから何とかしてあげたい」という一念だったそうです。そして小規模作業所等を訪ね歩き、真摯に見つめられた小倉さんが、今一番こだわっている問題意識は「月給1万円」(働く障害者に支払われる平均賃金)の現実です。
 「福祉的就労」(単純作業)の限界、あきらめが背景にあります。小倉さんはその原因が施設職員の経営力の不足にあると判断し、奉仕の現場を叱咤激励する立場をとります。また障害者がもっともっと「働く喜び」を得られる道を模索されています。そして1996年から「小規模作業所パワーアップセミナー」をスタートし、障害者自立のための仕事づくりに具体的に取り組んでいるのです。回を重ね、具体的な成果があらわれつつあります。
 特に注目されているのが「スワンベーカリー」(広島のタカキベーカリーの後押しによる、冷凍パン生地活用の焼き立てパン屋さん、障害者のいきいき職場)です。最初の成功例であるとされ、小倉さんの目標とする「月給10万円の障害者」の実現に一歩近づいた取り組みであります。今では全国に10店鋪を数えています。

 先日、私はその中でも立地のハンディキャップを創意工夫で乗り越え、リーディング・ストアーになっている十条店を訪問しました(同店は今年、東京都障害者雇用促進協会から優良事業所として表彰される)。そして元養護学校教員であった名店長の小島靖子さんとお話しました。直にお会いし、その熱き思いを少しでも感得できればとの願いでありました。
 小島さんは自立への歩みのなかで、お客さま・地域とのふれあいのなかで、障害者がいきいきと成長する驚きそして喜びを語られました。
 そして小島さんには来年1月23日(金)の当グリーンクラブ例会で卓話をいただくことをお願いし、快諾していただきました。楽しみなことです。

 いま小倉さんが手掛けた「障害者の生きがいの道」は開けつつあると確信しています。大事なことは、ありのままの「思いやりの心」、そして最初の一歩なのです!我々も、「善を行うに、勇たれ!」でさらに頑張りましょう!

(2003/9/12 ロータリー情報委員会 原 幹郎)