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<ロータリーの社会奉仕、その時代性は?>

 ロータリーは創設期の論争を経て、集約された「決議23〜34」(1923年決議23号)でその在るべき姿(超我の奉仕、実践哲学)が示されました。これすなわち日常の「職業奉仕」を基本とする理念であります。これがロータリーは『奉仕団体』ではなく、『奉仕する人の団体』と言われる所以です。
 
さて職業奉仕を後押しする機会、「実践倫理を学ぶ場」としての「社会奉仕」はその後、「国際奉仕」、「新世代奉仕」へと発展・分派していきました。身近に思いやりと友愛の心を学ぶ「クラブ奉仕」も含め、今では「四大(五大)奉仕」と言われています。

 さて「社会奉仕」であります。
 「社会奉仕」は Community Service がその原語であり、コミュニティーへの奉仕を意味します。さてコミュニティーとは何でしょうか?コミュニティーとは社会学者のMacIver.R.M. マッキーヴァー(1882?1970、米コロンビア大学教授、「共同社会論」等の著作)が、1917年に提唱した概念であります。
 彼は「空間的範域をともなって自然発生的な共同生活がおこなわれる社会である」と定義づけました。その後は多義的に使われ、相当に混乱した概念(94にも及ぶ、コミュニティー喪失論・解放論等)でもあります。
 しかし、その共通したポイントは地域性と共同性であると言われます。そして、この古典的な概念が、再度注目されつつあります。その背景は汎世界的な近代化・総都市化による、旧来型共同体、協同社会の喪失でありましょう。まさに世界的な課題なのです。それがSollen の立場、期待概念としてのコミュニティーを意識させ、「地域的連帯を復権し、近隣社会における人間的結合の再構築を目指す」という姿勢を強めているのです。

 日本でも1969年に国民生活審議会が公にした「コミュニティー?生活の場における人間性の回復」をきっかけに都市行政の場においても強く意識され、今日に至っております(コミセンという箱もの対応中心という指摘もある)。

 ところで、ロータリーのCommunity Service は、すでに1910年代にはシカゴで確立していました。フロンティアの終焉、移民の急増、急激な都市化に混乱する20世紀初頭のアメリカ社会、そこに萌芽した「革新主義」(プログレッシズム)がそれを後押ししていました。その時、その場所では時代を先取りした課題であった訳です。
 決議23〜34に集約されたロータリーのCommunity Service も、足元の地域に根差しつつ、その実践を重ねたわけです。しかしプログレッシズムの希薄化(第1次&第2次世界大戦を受けての米ナショナリズムの台頭による?)、1930年代の民主党政権における米・ロータリーの退潮とともに、ロータリーにおける奉仕事業の重点は国際奉仕に移ります。世界国家たるアメリカの意志も反映されました。国連主義の流れの中で、世界平和を希求していたロータリーは国連の創設にも深く関わりました(多くの関連NGOの一つとして!)。
 その後は「世界社会奉仕」の分野に新天地を見いだした次第です。発展する財団との二人三脚にてポリオ等の目覚ましい成果を挙げたのです。いわゆるWe serve重点志向(飽くなき増強姿勢)の背景でもあります。
 しかしロータリークラブの基盤たる地域との協働性は薄れました。ロータリーのCommunity Serviceの危機でもあります。単年度の制約に隠れ、「心なき、形だけの地域奉仕」が横行しています。皮肉にもグローヴァリズム、世界規模での都市化はコミュニティーの再構築を求めています。
 私見でありますがこれからのロータリアンは「社会起業家」(Social Entrepreneur)を目指すべきであると思います。本音での「世直しの心」(プログレッシズム?)が求められているのです。
 「社会起業家」は90年代後半に英国のシンクタンクである“デモス”によって提唱されました。袋小路の現代社会の突破口を、地域(コミュニティー)から模索する役割であるとされます。
 イデオロギー的に柔軟で、知的に敏捷であること、革新的(現状打破能力)であることも必要条件であります。コミュニティーの関係者を巻き込みその要になる存在です。そのポイントは広いネットワーク構築能力に在ると言われます。幅広いネットワークを駆使して、「よい社会」をつくる人たちというわけです。情報化、IT化がそれを後押ししています。求められているのは梃子の役割を演じる存在です!

 ともあれ、ロータリーのCommunity Serviceも時代の変化を見据えて再構築する段階であると信じます。「学びなき社会奉仕」からは「より良き職業奉仕」も生まれないのではないでしょうか?
(参考文献?「社会起業家」町田洋次著、PHP新書、2000年12月5日第1版)


(2003/8/22 ロータリー情報委員会 原 幹郎)